ダライ・ラマ14世。Dalai Lama XIV。本名テンジン・ギャツォ。宗教指導者。
2008年3月16日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が、2日前に起きたチベットでの騒乱への中国当局の強圧的な対応を非難し、国際機関による調査を呼びかけた。
1935年、チベットのアムドタクシェ村(現・中国青海省)生まれ。39年にダライ・ラマ13世の転生(生まれ変わり)と認定され、40年に4歳でダライ・ラマに即位した。ダライ・ラマはチベット仏教の最高位で、政治上も最高権威。観音菩薩が衆生の救済のために、人間の体を借りて繰り返し転生しているものとされる。チベットは清朝崩壊後の1913年に中国からの独立を宣言していたが、49年に成立した中華人民共和国はチベットの領有を宣言し、51年には軍をチベット仏教の聖地ラサに駐留させた。59年、中国の支配に反発するラサの僧侶や市民が反乱を起こして武力鎮圧された「チベット動乱」によって、ダライ・ラマはインドに亡命。以後、インドのダラムサラに亡命政府を樹立し、チベット解放運動を指導してきた。89年には、非暴力によるアピールが評価され、ノーベル平和賞を受賞した。2008年3月14日、ラサで大規模な暴動が発生。チベット自治区だけでなく、チベット人が居住する中国国内の周辺地域にもデモや暴動が広がった。ダライ・ラマは中国当局を非難するとともに、信者たちに非暴力を貫くことを呼びかけている。