クマダ・チカボ。本名、熊田五郎。画家。
2009年8月13日、細密画技法を駆使して描いた昆虫や花などの絵で知られ、「日本のプチ・ファーブル」とも呼ばれた画家の熊田千佳慕さんが、誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去。98歳。
1911年、神奈川県生まれ。東京美術学校(現・東京芸術大学)在学中から山名文夫に師事し、35年デザイナーや写真家による制作集団「日本工房」に入社。第二次世界大戦後、商業美術の世界から絵本作家に転身。「ふしぎの国のアリス」「みつばちマーヤの冒険」「オズの魔法つかい」といった名作の挿絵や図鑑などを手がけた。70歳ごろから「ファーブル昆虫記」に登場する虫を描くことをライフワークにし、81年、83年とボローニャ国際絵本原画展で入選。フランスの「ファーブル友の会」会長から「プチ・ファーブル」と称賛されるなど内外から高い評価を受けてきた。生涯現役で絵を描き続け、09年8月12日から東京の松屋銀座で個展「99歳の細密画家~プチファーブル・熊田千佳慕展」が始まったばかりだった。