エガワ・タク。本名、馬場宏。ロシア文学者、東京工業大学名誉教授。
7月4日、ドストエフスキーの翻訳や研究で知られるロシア文学者、江川卓さんが、気管支炎のため、東京都杉並区の病院で死去。74歳。
1927年、東京都出身。東京大学法学部卒。父親はロシア文学者の外村史郎(本名、馬場哲哉)。戦時中に独学でロシア語を習得。敗戦直後、北朝鮮で引き揚げ船を待っていたとき、ロシア兵たちとの交流でロシア語を磨く。
50年代半ばから、ドストエフスキーの「罪と罰」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」などの翻訳を手がけ、パステルナークの「ドクトル・ジバゴ」、ソルジェニーツィンの「イワン・デニーソヴィチの一日」など、数多くのロシア文学作品の翻訳や文学研究で活躍。難解とされてきたロシア文学を、明快で現代的な日本語に訳し、ドストエフスキーの翻訳に一時代を画した。87年、「謎とき『罪と罰』」で読売文学賞受賞。