セリザワ・チョウスケ。考古学者。
3月16日、岩宿遺跡や早水台(そうずだい)遺跡などを発掘し、旧石器時代研究の草分けとして活躍した考古学者、芹沢長介さんが、胸部大動脈瘤(りゅう)破裂のため死去。86歳。
1919年、静岡県生まれ。父は染色工芸家で人間国宝だった芹沢☆介(けいすけ)(☆は「金」へんに「圭」)。考古学を学ぶため明治大学に入学。49年、同大学大学院生の頃、当時まだ無名だった相沢忠洋と出会い、群馬県の岩宿遺跡発掘に従事、1万年以上前の打製石器を発掘し、日本に旧石器時代が存在したことを証明した。57年、同大学大学院博士課程を修了。63年より東北大学文学部助教授、71年に教授に就任し、大分県の早水台遺跡や長崎県福井洞穴など旧石器時代の遺跡を調査。栃木県の星野遺跡では、調査結果を基に旧石器の変遷をまとめた。80年代初期まで続いた「前期旧石器存否論争」においては存在肯定派のリーダー的な存在であった。84年から93年まで東北福祉大学の教授を務め、89年、同学内に開館された「芹沢☆介美術工芸館」の館長に就任。旧石器時代の他、縄文文化やアイヌ文化の研究にも精力的に取り組んだ。2000年には「旧石器遺跡ねつ造事件」が発覚し、波紋も広がった。主な著書に「旧石器の知識」などがある。