ムラカミ・ハルキ。作家。
2009年2月15日、村上春樹が、個人の自由などをテーマに優れた作品を発表した作家に贈られるイスラエルの文学賞、エルサレム賞の授賞式に出席。記念講演で、イスラエルのパレスチナ自治区ガザへの攻撃に言及し、一人ひとりの力で国家や組織の暴走を防ぐよう訴えた。
1949年、京都府生まれ。早稲田大学文学部演劇科卒。79年、群像新人文学賞受賞作の「風の歌を聴け」でデビュー。主著に「羊をめぐる冒険」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「ねじまき鳥クロニクル」「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」など。国外でも人気が高く、歴史は浅いが2年連続でその年のノーベル文学賞受賞者が受賞したことで有名になったフランツ・カフカ賞を、2006年に受賞。このときに開いた英語の記者会見が初めての会見だったというほど、公の場に出ることが少ない。今回のエルサレム賞受賞では、イスラエルのガザ攻撃をめぐり日本のNGOを含む複数の市民団体が賞の辞退を呼びかけるなど注目を集めていたが、村上は「欠席して何も言わないより話すこと」を選び、爆弾、あるいはシステムという高く強固な「壁」があり、それにぶつかって壊れる「卵」(私たち一人ひとり)があるとしたら、自分は常に「卵」の側に立つ、と発言した。