タカノ・エツコ。岩波ホール総支配人。
2013年2月9日、ミニシアターの草分け的存在である岩波ホールの総支配人で、海外の映画人とも交流を重ねた高野悦子さんが、大腸がんのため死去。83歳。
1929年5月29日、旧満州(現・中国東北部)生まれ。日本女子大学社会福祉学科卒業後、52年東宝に入社したが、映画監督を志して、58年パリの高等映画学院(現・フランス国立映画学校)に留学。帰国後は、テレビドラマのシナリオや演出を手がけた。68年、東京・神保町の岩波ホール創立とともに、総支配人に就任。当初は多目的ホールとして運営していたが、74年、外国映画の配給を手がけてきた故・川喜多かしこさんとともに、世界の埋もれた映画を発掘する「エキプ・ド・シネマ (映画の仲間)」運動を起こす。「大地のうた」(サタジット・レイ監督)三部作や「家族の肖像」(ルキノ・ヴィスコンティ監督)、「旅芸人の記録」(テオ・アンゲロプロス監督)、「大理石の男」(アンジェイ・ワイダ監督)などの名作を上映し、ミニシアターブームを呼んだ。東京国立近代美術館フィルムセンター初代名誉館長や、東京国際女性映画祭ゼネラルプロデューサーなどを歴任。81年菊池寛賞、89年芸術選奨文部大臣賞を受賞。2004年文化功労者。著書に「シネマ人間紀行」「私のシネマライフ」「女性が映画を作るということ」など。