タナカ・マキコ。小泉内閣外相。衆議院議員(新潟5区)。元科学技術庁長官。
11月2日、与野党は、国会対策協議で、田中真紀子外相の国連総会と主要国(G8)外相会議への出席を認めないことで合意。国会日程上、補正予算案審議に支障を招くというのが表向きの理由だが、国連総会やG8に外相が欠席するのは、極めて異例。9月下旬の外遊拒否(田中外相が衛生事情を理由に首相特使としてのパキスタン訪問を拒否)、10月21日のアジア太平洋協力会議(APEC)欠席に続き、小泉内閣の外交政策決定からの「外相外し」が鮮明化した。11月5日付のワシントン・ポスト紙やAP通信などの海外メディアも、外相として機能しない田中外相を批判的に報道。
田中外相と外務省事務方との衝突は、大臣就任以来、数カ月にわたって続いているが、外相の資質を問われるトラブルをまた連発。ひとつは「外務省立てこもり」。10月29日夜、秋の園遊会に自分の後援会関係者を出席させられなかったとして、外務省人事課に2時間にわたって立てこもり、女性職員に人事課長の更迭辞令書類の作成を強要した騒動。もうひとつは、11月1日に起きた「指輪騒動」。外相の指輪が無くなったとして、秘書官にデパートに買いに行かせ、そのためにイラン外相との会談に30分、遅刻したという騒動。一連の騒動は国会でも取り上げられ、与野党から「外相交代論」が噴き出している。しかし、小泉首相は、言動に注意するよう外相をたしなめたものの、外相更迭は否定。
1944年、新潟県出身。田中角栄元首相の長女。夫は田中直紀参議院議員。早稲田大学卒。早大在学中に、劇団「雲」の研究生となり、女優を志す。高校時代にアメリカ留学した語学力を生かし、田中首相の外遊に同行。名ホステスぶりを発揮して脚光を浴びる。ロッキード事件で田中首相が失脚後、夫と父の選挙運動を支えて、当選させる。93年、衆院選に無所属で立候補し、トップ当選を果たして、自民党に入党。94年の村山内閣で科学技術庁長官に。2001年の自民党総裁選で、小泉純一郎候補と二人三脚で選挙運動を展開し、小泉総裁を誕生させて、小泉内閣の外相に。父親譲りの毒舌で人気に。