ヤマシタ・フミオ。津波災害史研究家。
2011年12月13日、「地震が起きたら津波が来る前に“てんでんばらばら”に高台へ逃げろ」という意味の「津波てんでんこ」を全国に広めた、津波災害史研究家の山下文男さんが肺炎のため死去。87歳。
1924年、岩手県生まれ。1896年の明治三陸地震による津波で祖母らが犠牲となっており、1933年、9歳のときに起きた昭和三陸地震で自らも津波の被害に遭う。そうした体験を踏まえて津波防災活動や津波災害史の研究に従事、著書や講演活動などを通じて「津波てんでんこ」の教訓を広めてきた。2011年3月11日に起きた東日本大震災では、入院中の陸前高田市の病院で津波に遭遇。4階まで押し寄せた水に首まで漬かる中、カーテンにしがみついて奇跡的に生還を遂げた。その後は盛岡市の病院に入退院を繰り返しながら、津波に関する情報発信を続けていた。00年、日本自然災害学会賞功績賞受賞。著書に「哀史三陸大津波」「津波ものがたり」「津波てんでんこ 近代日本の津波史」「津波の恐怖」など。