ハマグチ・ヨウゾウ。版画家。12月25日、老衰のため東京都港区の病院で死去。91歳。
1909年、和歌山県生まれ。ヤマサ醤油の浜口家の3男として生まれる。東京美術学校(現東京芸大)彫刻科を中退して30年に渡仏し、水彩と銅版画に転向。39年、第二次世界大戦のため帰国。戦後になり、銅版画に本格的に取り組み、53年に駒井哲郎らと日本銅版画協会を結成し、再び渡仏してパリで制作。のちに「浜口のノワール(黒)」と呼ばれることになる、独特のカラーメゾチント技法を開拓し、黒をバックに、サクランボやブドウ、貝などの静物をモチーフにした静謐(せいひつ)な作品で世界的に知られる。57年、サンパウロ・ビエンナーレ版画部門大賞を受賞。以後、東京、ベネチア、リュブリアナなど、世界各国の国際版画展で受賞。81年に、パリからサンフランシスコに移住した後も、84年サラエボ冬季五輪の記念ポスターを制作。96年に帰国し、98年に、個人美術館「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」が開館。