ナカネ・チエ。社会人類学者。
文化の日の11月3日、文化勲章の親授式が皇居で行われ、天皇陛下が5人の受章者に勲章を手渡した。2001年度の受章者は、社会人類学の中根千枝(74歳)、分子エレクトロニクスの井口洋夫(いのくち・ひろお、74歳)、ウイルス学の豊島久真男(くまお、71歳)、日本画・古画再現の守屋多々志(ただし、89歳)、彫刻の淀井敏夫(90歳)の5氏。
また11月5日には、文化功労者の顕彰式が行われた。文化功労者は、平安朝文学研究の秋山虔(けん、77歳)、政治学の猪木正道(まさみち、86歳)、前国連難民高等弁務官の緒方貞子(74歳)、指揮者の小沢征爾(せいじ、66歳)、演劇研究の河竹(かわたけ)登志夫(76歳)、天然有機化合物研究の岸義人(64歳)、政治過程論の京極(きょうごく)純一(77歳)、素粒子物理学の小林誠(57歳)、生化学・分子生物学の長田重一(52歳)、歌舞伎女形の四世中村雀右衛門(じゃくえもん、81歳)、書家の成瀬映山(なるせ・えいざん、81歳)、日本画の稗田一穂(ひえだ・かずほ、81歳)、素粒子物理学の益川敏英(61歳)、作曲家の三善晃(あきら、68歳)、作家の安岡章太郎(81歳)の15氏。
文化勲章受章者の中根千枝東大名誉教授は、社会人類学、チベットの社会構造が専門分野。実態調査に基づいた学問としての文化人類学の確立に貢献し、欧米の諸大学でも客員教授を歴任した国際的社会人類学者。
1926年、東京都出身。津田塾専門学校を経て、50年、東京大学文学部東洋史学科卒、52年、東大大学院修了。東大助手、講師、助教授、教授と、常に「女性第1号」の肩書がついて昇進した異色の研究者。80年には、東大東洋文化研究所所長に。『タテ社会の人間関係』『タテ社会の力学』などで、日本社会のムラ意識、派閥抗争、年功序列などを分析。英国王立人類学協会名誉会員、日本学士院会員、対外経済協力審議会会長。