ツルザワ・エンザ。本名、浜野民男。人形浄瑠璃(じょうるり)文楽義太夫節(ぎだゆうぶし)三味線方人間国宝。
12月2日、文楽三味線の重要無形文化財保持者(人間国宝)、鶴沢燕三さんが、肺炎のため大阪府吹田市の病院で死去。87歳。
1914年、大阪市生まれ。1925年に6代目・鶴沢才治に入門し、29年、師匠の没後、鶴沢友次郎の門下に。32年、四ツ橋文楽座で初舞台。43年、5代目・鶴沢燕三を襲名。柔らかく情の深い繊細な音色で、「曽根崎心中」「恋飛脚大和往来」などの世話物や舞踊物でファンを魅了。昭和の名大夫(たゆう)と呼ばれる、竹本越路大夫、津大夫、住大夫らの相三味線を長くつとめた。また、三島由紀夫の新作歌舞伎「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」の作曲などでも活躍。85年に人間国宝に。95年8月の大阪・国立文楽劇場の舞台で演奏中に脳出血で倒れ、一線を退いていた。