こんどう・けいたろう。作家。
2月1日、「海」「大観伝」「奥村土牛」などで知られる、芥川賞作家の近藤啓太郎さんが、胃がんのため、千葉県鴨川市の自宅で死去。81歳。
1920年、三重県出身。画家を志し、東京美術学校(現・東京芸術大学)日本画科を卒業。鴨川中学で美術の教師を務めるかたわら、丹羽文雄が主宰する「文学者」に発表した「飛魚」などで4回、芥川賞候補に。56年、「海人舟(あまぶね)」で第35回芥川賞を受賞。安岡章太郎、吉行淳之介、小島信夫、遠藤周作らとともに「第三の新人」のひとり。海や漁師をテーマにした作品群で知られるが、横山大観の生涯を描いた「大観伝」や「近代日本画の巨匠たち」「奥村土牛」(読売文学賞受賞)など、画家の評伝や美術評論も手がけた。その他代表作に、がんで亡くなった妻の死を描いた「微笑」など。また、無類の犬好きで知られ、日本犬についての随筆も多い。