スズキ・ムネオ。衆議院議員(北海道比例区)。元北海道・沖縄開発庁長官。
3月15日、鈴木宗男前衆院議院運営委員長は、外務省の北方四島への人道支援事業などで入札業者の選定に介入した疑惑の責任を取って自民党を離党。
アフガニスタン復興支援会議のNGO排除問題に端を発した鈴木宗男衆院議員の外務省に対する疑惑問題は、2月20日の衆院予算委員会での田中真紀子前外相と鈴木議員の参考人招致で、「ムネオ・ハウス(国後島に人道支援事業で建設された友好の家)」やアフリカ向けのODA(政府開発援助)の受注業者から鈴木議員への献金をめぐる「政官業癒着疑惑」に発展。
3月4日、外務省は調査報告書を発表。鈴木議員が支援事業を自分の選挙区の業者に受注させるため、入札条件を変更させたことなどを指摘し、外務省と鈴木議員が異常な関係にあったと断罪した。「ムネオ疑惑」は、外務省内の内部告発文書が野党側に次々に送付され、それらがテレビ・雑誌にも連続して取り上げられたため、最大の関心事に。
3月11日に行われた衆院予算委員会での証人喚問で、鈴木議員は北方四島人道支援事業の入札に関与したことを認めたが、特定の業者を意図しての介入ではなかったと、入札妨害や収賄の可能性を否定。しかし、疑惑を晴らす明確な答弁を行うことができず、12日には、鈴木議員のコンゴ人私設秘書の外交旅券が偽造されていたことも判明し、監督責任を問われて離党に追いつめられたもの。
比例区選出の議員が離党した場合、議員の資格を同時に失うのではとの疑問が野党側から出されたが、法律上、明確な条文規定がないため、無所属の議員としてとどまることに。
外務省は、鈴木議員と連携して、対ロシア外交をハンドリングしていた東郷和彦オランダ大使(元欧亜局長)ら幹部を更迭し、省内の鈴木色の排除を決定。対ロ政策は、小渕、森内閣で、鈴木議員が「陰の外相」として主導してきた「歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)二島返還」路線から、国後(くなしり)・択捉(えとろふ)も含めた「四島帰属確認」路線へと大きく軌道修正を迫られることになり、北方四島交渉は事実上、白紙に戻されることになる。
なお、3月20日、衆院議院運営委員会は、野党4党が提出した鈴木議員に対する議員辞職勧告決議案を与党3党の反対多数で否決した。
1948年、北海道出身。拓殖大学卒。中川一郎代議士の秘書を経て、83年、衆院議員に初当選。以後、防衛政務次官、外務政務次官、北海道・沖縄開発庁長官などを歴任。NGO排除問題の責任を取って、衆院議院運営委員長を辞任。