マツモト・シゲオ。能楽師。
2月5日、重要無形文化財保持者で宝生流シテ方の松本恵雄さんが、急性心不全のため死去。87歳。
1915年、東京生まれ。宝生流の名人、松本長(ながし)の次男。兄は俳人の故・松本たかし。病弱だった兄に代わり家芸を継ぐことになり、18歳で宝生流17世宗家・宝生九郎重英に入門。33年、早稲田大学専門部政治経済科に入学したが、修業に専念するため中退。初舞台は36年、仕舞「鞍馬天狗」。野口兼資、近藤乾三にも師事し、宝生流の堅実にして重厚・端正な芸風を体得。69年、「融(とおる)」で芸術選奨新人賞受賞。82年、「大原御幸(おおはらごこう)」で芸術祭大賞。91年、重要無形文化財「能シテ方」保持者(人間国宝)に認定された。足を痛め、98年以降、仕舞、舞囃子を除き能を舞うことはなかった。