スギウラ・ヒナコ。本名、鈴木順子。文筆家。
7月22日、江戸風俗を題材にしたマンガやエッセーを発表した文筆家の杉浦日向子さんが、下咽頭(いんとう)がんで死去。46歳。
1958年、東京都生まれ。生家は京橋の呉服商、幼少より江戸文化に慣れ親しむ。日本大学芸術学部デザイン学科を中退後は、江戸文化の時代考証の第一人者の稲垣史生に師事。80年、吉原を題材にした、「通言室乃梅(つうげんむろのうめ)」で漫画家デビュー。同作品は月刊漫画誌「ガロ」に掲載された。江戸を舞台にした味わいのある作風は“文芸漫画”と呼ばれ、その綿密な時代考証とともに話題になり、80年代以降の江戸ブームの火付け役となった。84年、彰義隊の悲劇を描いた「合葬」で日本漫画家協会賞優秀賞、88年には「風流江戸雀」で文藝春秋漫画賞を受賞。93年に漫画家を引退し、江戸風俗や浮世絵の研究に専念。その豊富な知識を生かし、NHKのバラエティー番組「コメディーお江戸でござる」に解説者として9年間レギュラー出演した。他の作品に漫画「百日紅(さるすべり)」「百物語」、エッセー「江戸へようこそ」「大江戸観光」、小説「4時のオヤツ」などがあり、「杉浦日向子全集」(全8巻筑摩書房)にまとめられている。