ムラカミ・ゲンゾウ。作家。
4月3日、「佐々木小次郎」をはじめ、戦後の時代小説を支えた村上元三さんが、心不全のため死去。96歳。
1910年、旧朝鮮・元山(ウォンサン)生まれ。青山学院中等部卒業。浅草の剣劇俳優、梅沢昇の脚本を書いたことがきっかけで作家の長谷川伸の知己を得、以来、生涯の師と仰いだ。41年、「上総風土記」で直木賞を受賞。49年、朝日新聞夕刊に連載を開始した「佐々木小次郎」で、それまでの敵役イメージを一新する、近代的な青年美剣士として小次郎を描き、一躍流行作家となった。「加賀騒動」「水戸黄門」「平賀源内」などの歴史的題材を、現代的な視点から新解釈を加えてつづる作風で人気を博し、戦後の時代小説において立役者的な役割を果たした。また、舞台劇や映画、テレビドラマなどの脚本も多く手がけた。