ヨシダ・タマオ。本名、上田末一。人間国宝。文楽人形遣い。
9月24日、人形浄瑠璃文楽の人形遣いで人間国宝の吉田玉男さんが肺炎のため死去。87歳。
1919年、大阪府大阪市生まれ。33年、14歳で人形遣い吉田玉次郎に入門し、玉男を名乗る。兵役を経て戦後文楽に復帰。以後、わずかな動きで深い内面を表現する技術と、女形から二枚目、荒物までこなす芸域の広さや品格から文楽史上に残る名人とたたえられた。77年には重要無形文化財保持者(人間国宝)となり、2000年には文化功労者に選ばれた。
代表作は「大物浦」の知盛役、「妹背山」の大判事役、「熊谷陣屋」の熊谷役など文楽の主要な役ばかり。特に55年、240年ぶりに復活上演された「曾根崎心中」の主役・徳兵衛役では、その後94年に1000回上演を記録し、晩年までに1136回上演。一つの役での上演記録では文楽史上最高記録となった。
95年、のどの腫瘍を手術。80歳を越えても主役を演じ、衰えを感じさせなかったが、2003年秋に再発した後は休演が目立つようになっていた。