トール・ヘイエルダール。Thor Heyerdahl。ノルウェーの人類学者、探検家。
4月18日、「コン・ティキ号」による南太平洋の実験航海などで知られるノルウェーの人類学者、ヘイエルダール氏が、脳腫瘍のため、北イタリアの自宅で死去。87歳。
1914年、ノルウェーのラルヴィク生まれ。オスロ大学卒業後、ポリネシアやカナダの先住民の人類学調査に携わり、47年、バルサ材で作った筏(いかだ)「コン・ティキ号」で、ペルーからポリネシア諸島へ実験航海して、ポリネシア人の起源がペルーであるという説を主張。この説は、現在では否定されているが、『コン・ティキ号探検記』は世界60カ国語以上に翻訳され2000万部を超える大ベストセラーに。70年以後も、パピルスで作った古代エジプトの船を復元した「ラー2世号」による大西洋横断、葦(あし)で作った古代シュメールの復元船「ティグリス号」によるイラクからアフリカ・ジブチへの実験航海などで、古代海洋文明の幅広い交流の可能性を実証した。