ワカバヤシ・イサム。彫刻家。
10月10日、鉄を使った彫刻や庭園などの作品で国際的にも著名な彫刻家の若林奮さんが、胆管がんで死去。67歳。
1936年、東京生まれ。59年東京芸術大学彫刻科卒業。73年から文化庁芸術家在外研修員として約1年間渡欧。エジプトの遺跡やヨーロッパの旧石器時代の遺跡から刺激を受け、鉄を素材に彫刻と自己、周囲との関係を問う実験的な連作「振動尺」などを発表。80年と86年、ベネチア・ビエンナーレ日本代表となるなど国際的にも活躍し、版画、素描、鉄以外の彫刻も多数制作。屋外空間や環境にも関心を広げ、庭園も手がけた。96年には東京都日の出町のごみ処分場計画地に、作品として庭「緑の森の一角獣座」を制作。東京都が処分場拡張のため行政代執行でこの作品を2000年に撤去したことをめぐって提訴していた。著書に共著「対論・彫刻空間―物質と思考」がある。