ナカノ・コウジ。作家。
7月16日、「清貧の思想」で知られる作家でドイツ文学者の中野孝次さんが、肺炎のため死去。79歳。
1925年、千葉県生まれ。東京大学独文科卒業。国学院大学教授などを務め、カフカやギュンター・グラスなどの翻訳を手がけ、「実朝考」など文芸評論も発表。76年長編エッセイ「ブリューゲルへの旅」で日本エッセイストクラブ賞を受賞。79年には、大工の次男に生まれ中学に進むことを許されなかった体験をもとにした自伝的小説「麦熟るる日に」で平林たい子文学賞を受賞した。愛犬との交流を描いた「ハラスのいた日々」は、88年に新田次郎文学賞を受け、映画化もされた。92年の「清貧の思想」は、ポストバブル時代のベストセラーとなった。