ヤマジ・フミコ。本名、大久保ふみ子。元女優。社会事業家。
12月6日、戦前を代表する映画スターで、戦後は映画賞を創設するなど私財を投じた助成活動を続けてきた元女優、山路ふみ子さんが、心不全のため死去。92歳。
1912年、神戸市生まれ。29年、高等女学校在学中にミス神戸に選ばれ、翌年卒業と同時に帝国キネマ(当時)に入社。同社の看板スターとして、数多くの作品に出演。雑誌や広告のモデルとしても活躍した。代表作である「愛怨峡」で名匠・溝口健二監督と出会い、演技にも開眼。「露営の歌」「あゝ故郷」などの溝口作品を含む100本以上の作品に出演した。戦後、映画界を引退して母親と東京・芝公園に料亭「山路」を開業。64年、料亭の土地と建物を売却して得た私財を投じ、山路ふみ子自然科学振興財団を設立。若手自然科学者に奨学金を贈った。76年には山路ふみ子文化財団を設立し、映画振興のため毎年、映画賞を贈るほか、遺児となった高校生のための奨学基金、看護教育のための助成基金、途上国の厚生施設建設のために資金を贈るなどの助成活動を続けてきた。