マツムラ・タツオ。俳優。
6月18日、映画「男はつらいよ」で2代目「おいちゃん」役を演じた松村達雄さんが、心不全のため死去。90歳。
1914年、横浜市生まれ。法政大学経済学部卒業。在学中はラグビー部に在籍し、名左ウイングとして活躍した。38年に大学を卒業。旧新協劇団に入団し、役者の道を歩み始める。42年に徴兵され戦地へ。46年に復員した後、52年に新劇常打ち小屋「五十人劇場」を立ち上げたが57年に解散した。映画デビューは59年の佐分利信監督「乙女の祈り」。以後、「墨東綺譚」「娘と私」「切腹」「上意討ち・拝領妻始末」など、多くの映画に出演し、名脇役・松村達雄の名を広く知らしめた。山田洋次監督作品には64年の「いいかげん馬鹿」で初出演。72年からは亡くなった森川信の後を継ぎ、「柴又慕情」から「寅次郎恋やつれ」の5作品で2代目「おいちゃん」を演じた。90年に勲四等瑞宝章受章。93年黒澤明監督の遺作「まあだだよ」の内田百けん(けん=「門」の中に「月」)の役で初めて主役を演じ話題となった。04年の「解夏」では、主人公に病と向き合う心を説く老人役を好演。05年4月にNHKのマスコットキャラクター「うさじい」の声を自宅で収録したのが、最後の仕事となった。