ヤグチ・コウイチ。元最高裁判所長官。
7月25日、裁判官生活の大半を最高裁事務総局ですごし、「ミスター司法行政」と呼ばれた元最高裁長官の矢口洪一さんが、下咽頭がんのため死去。86歳。
1920年、京都市生まれ。43年、京都帝国大学法学部を卒業し、46年に司法官試補となる。48年に大阪地裁の判事補となった後、65年に東京地裁判事になるまで大阪で過ごした。68年、最高裁事務総局民事局長兼行政局長になり、その後も最高裁総局人事局長、最高裁事務総局次長を経験するなど、最高裁で多くの時間を過ごした。84年に最高裁判事となり、翌年、中曽根内閣の指名を受けて最高裁判所の第11代長官に就任した。長官在任中に「裁判員制度」につながる陪審制研究や、弁護士からの裁判官登用などの司法制度改革を進めた。90年の退官後も司法制度改革について積極的に発言し、93年勲一等旭日桐花大綬章を受けた。2002年からは司法改革国民会議の運営委員を務めていた。