ファン・アントニオ・サマランチ。Juan Antonio Samaranch。国際オリンピック委員会(IOC)前会長。
7月13日、IOCモスクワ総会で、IOCのアントニオ・サマランチ第7代会長(80歳)が、21年間にわたる会長職からやっと退任。終身名誉会長に選出された。
7月16日に行われた新会長選挙は、ジャック・ロゲ理事(ベルギー)、金雲龍理事・元副会長(韓国)、ディック・パウンド前副会長(カナダ)、アニタ・デフランツ副会長(アメリカ)、パル・シュミット委員(ハンガリー)の5氏で争われたが、2度目の投票で、サマランチ体制の後継者と目されていたロゲ理事が、欧州票をまとめて過半数を制し圧勝。副会長職も親サラマンチ派がほぼ独占。また、新IOC委員に、サマランチ前会長が個人推薦で候補に押し込んだ同氏の長男が信任されるなど、前会長が今後も影響力を発揮する可能性大。
1920年、スペインのバルセロナ出身。56年、スペイン五輪委員となり、66年、IOC委員に。74~78年、IOC副会長。77~80年、駐ソ連大使。80年7月、第7代会長に就任。84年、商業主義の色濃かったロサンゼルス五輪の成功以後、スポンサー制度を五輪運営に本格導入。89年、再選。93年、3選。95年には、委員の定年を75歳から80歳に引き上げて、自らの4選を可能にし、97年、4選。98年末、ソルトレークシティー五輪招致疑惑問題が発覚して、責任を問われたが、疑惑の委員6人を罷免し、会長職にとどまる。会長任期21年は、第2代会長クーベルタン男爵(フランス)の29年に次ぐ長期政権。