マツイ・ミツル。暗号解読研究者。
4月26日、三菱電機の松井充主席研究員らの暗号化技術に関する発明が、2004年度全国発明表彰で恩賜発明賞(社団法人発明協会主催)を受賞した。
1961年、兵庫県生まれ。京都大学大学院理学研究科で数学者を目指していたが、87年修士課程修了後、三菱電機に入社。以来、暗号と情報セキュリティー技術に関する研究開発に従事。93年、アメリカ政府が標準暗号としていたDES(データ暗号規格)方式の弱点を発見し、線形解読法と呼ばれる解読法を発表。翌年、公開実験で12台のコンピューターを使い50日でDESを解読し、世界の注目を集めた。95年、それまでの方式に比べ、安全性が高く少ない計算量でデータを暗号化できる、暗号アルゴリズムMISTY(ミスティー)を開発。MISTYを携帯電話用に改良した暗号アルゴリズムKASUMI(カスミ)が、2000年に第三世代携帯電話の世界標準暗号として採用された。MISTYを解読するには理論的には数百年間もかかることになっている。またMISTYは、日本の電子政府推奨暗号リストにも掲載されるなど高い評価を受けている。