ヨシムラ・アキラ。作家。
7月31日、「戦艦武蔵」「関東大震災」などの記録文学や「長英逃亡」などの歴史小説で知られる作家、吉村昭さんがすい臓がんのため死去。79歳。
1927年、東京生まれ。旧制学習院高等科に在学中の48年、肺結核を患い肋骨を5本切除した。この闘病生活中に文学の道を志す。学習院大学在学中に同人誌「赤絵」で文学活動を始め、丹羽文雄主宰の同人誌「文学者」に発表した作品は芥川賞候補にもなった。53年、大学を中退し会社員になるが、65年から文筆業に専念する。66年、「星への旅」で太宰治賞を受賞。同年「戦艦武蔵」を発表し、記録文学の新境地を開いたとして評価された。その後も、記録文学を次々と発表し、一連の作品で、73年、菊池寛賞を受賞した。また「長英逃亡」などの歴史小説にも取り組み、78年に発表した「ふぉん・しいほるとの娘」で吉川英治文学賞を、83年発表の「破獄」では芸術選奨文部大臣賞と読売文学賞小説賞を、94年の「天狗争乱」では大佛次郎賞を受賞した。また、短編「闇にひらめく」を原作とした今村昌平監督の映画「うなぎ」はカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した。徹底した資料調査と現地取材によって作品を作る吉村さんの手法は高く評価されている。妻も作家で、芥川賞を受賞した津村節子。