タナカ ヤスオ。新長野県知事。作家。10月15日に行われた長野県知事選で、対立候補の前副知事を11万票余りの大差で破り、初当選。副知事経験者が、40年余りにわたって知事の座を占めつづけてきた、官僚主導型県政に対する長野県民の不満が、無党派層を中心に、一気に爆発したかたちの選挙となった。選挙後、前副知事への票の取りまとめを指示していた県土木部幹部や塩尻市助役らが、選挙違反容疑で逮捕されており、公共事業や補助金を餌に集票を図る、従来の「政官業組織ぐるみ選挙」に対して、個人・無党派・ボランティアによる、新しい市民運動型のイメージ選挙の勝利として注目される。
なお、11月19日に実施された栃木県知事選でも、無所属の前今市市長福田昭夫氏が、5選を目指した6党推薦の現職知事(元農水事務次官)を破り、当選。「無党派ショック」は、長野県だけの特異現象ではなかったことを証明。
56年、東京都生まれ。中学高校時代を松本市で過ごす。一橋大在学中の80年に、「なんとなく、クリスタル」で作家デビュー。阪神・淡路大震災直後から、ボランティアとして被災地の救援活動を実施。神戸空港建設問題では、「神戸市民投票を実現する会」代表として、住民投票条例の制定運動に参加するなど、市民活動に積極的に関わる。