チョン・モンジュン。韓国サッカー協会会長、韓国財界出身の国会議員。1月26日、2002年W杯韓国組織委員会(KOWOC)は、KOWOCの公式サイトのフォーラム・ページに、日本非難の投書が殺到したため、フォーラムを急遽閉鎖。1月12日以後、KOWOCと日本組織委員会(JAWOC)の間で紛糾している、W杯の呼称問題に端を発するもの。
W杯の正式名称は「2002 FIFA World Cup Korea/Japan」となっており、JAWOCが日本国内向け印刷物の日本語表記に「日本・韓国」の順で印刷していることに対して、韓国サッカー協会会長でKOWOC会長をも務める鄭夢準氏が批判。KOWOCはFIFA(国際サッカー連盟)を通じてJAWOCに、正式名称どおり「韓国・日本」と、韓国を先に印刷することを要求。JAWOCも、日本国内での表記については「日本・韓国」と表記することは、共同開催が決まった96年時点に口頭で合意されていた事項として、これまでどおり「日本・韓国」の表記を認めるよう、FIFAに要望。FIFAは、いったんは、日本語でも正式名称どおり「韓国・日本」と表記するようにとの裁定を下したが、JAWOC側が猛反発したため、日韓両国の国名を外した表記を使用してはという仲裁案を出している。
問題は、両国組織委が呼称問題で見解を発表するたびに、双方の国民感情を刺激し、日韓のウェブ上のサッカー・フォーラムには罵詈雑言が飛び交い、2月5日には韓国のサポーターたちが、ソウルの日本大使館に抗議行動を起こす事態にまでなったこと。
呼称問題の決着は、3月中旬に開かれるFIFA理事会で結論が出される予定だが、呼称問題という、いわば両国組織委の面子(メンツ)問題で、日韓共催W杯の最大のテーマとなるべき両国の友好関係に水が差されたというのは、大きな誤算。また、この問題に火をつけたのが、次期大統領候補とも目されている有力政治家の鄭夢準氏だけに、サッカー界の問題だけにとどまらなくなるのは必至で、今後、天皇訪韓問題などにも影響が出よう。
51年ソウル生まれ。韓国の財閥「現代グループ」を一代で築きあげた鄭周永氏の6男。ソウル大、マサチューセッツ工科大大学院修了、ジョンズホプキンス大で国際論で博士号を取得。82年、現代重工業社長。88年、無所属で立候補して国会議員に。また、93年韓国サッカー協会会長となり、94年にはアジアサッカー連盟選出のFIFA副会長となって、2002年W杯の韓国招致を成功に導く。00年10月からKOWOC共同会長を兼務。