タナカ・イッコウ。グラフィックデザイナー。
1月10日、日本の広告デザイン界をリードしたグラフィックデザイナーで、国際的にも活躍した田中一光さんが、急性心不全のため、東京都新宿区の病院で死去。71歳。
1930年、奈良県出身。京都市立美術専門学校(現・京都市立芸大)図案科卒業後、鐘淵紡績で染色デザイナーとして勤務するが、早川良雄のポスターに啓発されて、グラフィックデザインに方向転換。ライトパブリシティ社で東洋レーヨンの「テトロン」の宣伝広告を手掛け、注目を集める。60年、日本デザインセンターの創立に参加。63年、田中一光デザイン室を主宰。73年以後、セゾングループのアートディレクターとして、包装紙、ロゴ、イベントのポスターから無印良品の企画・監修まで、トータルなビジュアル・デザインワークを展開。
日本の琳派などの伝統的なデザインとヨーロッパのモダン・デザインとを融合させた独自の様式美と端正なロゴマークなどで、世界的に高い評価を得る。代表作は、共同石油、東京銀行、つくば科学万博のマークや赤坂東急ホテルの外装デザインなど。80年、毎日産業デザイン賞、86年、ニューヨークADC賞金賞、88年、毎日芸術賞、91年、日本文化デザイン大賞、98年、朝日賞、99年、第1回亀倉雄策賞受賞。2000年、文化功労者に。