フランシス・クリック。Francis Harry Compton Crick。分子生物学者。
7月28日、DNAが二重らせん構造であることを発見し、現代の分子生物学の基礎を築いたフランシス・クリック博士が、結腸がんのため死去。88歳。
1916年、イギリス・ノーサンプトン生まれ。ロンドン大学で物理学を学び、戦時中はイギリス海軍の研究機関で磁気や音に反応する機雷の研究に従事。戦後、ケンブリッジ大学で生物学者へ転身した。同大学の研究所でモーリス・ウィルキンスらのX線回折の写真をもとに、ジェームズ・ワトソンと議論の末、DNAの二重らせん構造を発見。イギリスの科学雑誌「ネイチャー」の53年4月25日号で1ページ強の論文を発表した。この発見は生物学における20世紀最大の発見と評価され、クリックとワトソン、ウィルキンスは62年にノーベル医学・生理学賞を受賞した。