ヨシノ・トシヒコ。経済評論家。元日銀理事。
8月12日、安定成長論を主張し続けた経済評論家で、森鴎外の研究家としても有名な吉野俊彦さんが肺炎のため死去。90歳。
1915年、大阪市生まれ。東京帝国大学法学部を経て、38年に日本銀行入行。長年にわたり調査局勤務を続け、41年には日銀法制定に尽力した。66年、調査局局長、70年、日銀理事に就任。74年から山一證券経済研究所に移り、理事、会長、特別顧問などを歴任した。一方で100冊以上の金融関係書を執筆し、経済安定成長論を主張。故・下村治氏と繰り広げた「高度成長か、安定成長か」論争で話題になった。また、日本銀行時代から森鴎外など日本の近代文学研究にも熱心に取り組み、「森鴎外私論」「永井荷風と河上肇」などを著した。61年に経済学博士。78年には放送文化賞を受賞。主な著書に「日本銀行」「わが国の金融制度と金融政策」などがある。