ナカムラ・ウタエモン。本名、河村藤雄。歌舞伎女形(おやま)。屋号、成駒屋。
3月31日、文化勲章受章者で人間国宝(重要無形文化財保持者)の歌舞伎女形の中村歌右衛門さんが、慢性呼吸不全のため、東京都世田谷区の自宅で死去。84歳。
1917年、東京都生まれ。名優5代目中村歌右衛門の次男。22年に中村児太郎の芸名で初舞台を踏み、福助、芝翫(しかん)を経て、51年に6代目歌右衛門を襲名。43年には吉右衛門劇団結成に参加。47年の「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」の花魁(おいらん)、八ツ橋役は、比類のない美しさで称賛され、戦後歌舞伎復興のきっかけになったという伝説がある。美貌と気品、風格のある最高の女形として、歌舞伎ファンを魅了してきた。当たり役は、「京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)」の花子、「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」の政岡、「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」の八重垣姫など。64年、46歳という若さで芸術院会員となり、以後、歌舞伎界の第一人者として活躍。94年には、歌舞伎座芸術監督に就任。また、日本俳優協会会長、日本芸能実演家団体協議会会長なども務めた。
68年人間国宝、79年文化勲章、96年勲一等瑞宝章を受章。