フルヤマ・コマオ。作家。
3月14日、戦犯収容所での体験を描いた『プレオー8(ユイット)の夜明け』などで知られる作家の古山高麗雄さんが神奈川県相模原市の自宅で亡くなっているのを、様子を見に来た長女が発見。死因は心筋梗塞(こうそく)とみられている。81歳。
1920年、植民地時代の朝鮮(現在の北朝鮮)新義州に生まれたため、「高麗雄」と名付けられた。旧制三高中退。42年に陸軍兵として召集され、東南アジア各地を転戦。ラオスで終戦を迎え、戦犯として収監され、47年に復員。復員後は、河出書房、芸術生活社、「季刊芸術」などで編集者生活に。69年、「季刊芸術」の編集長時代に、足りない原稿の穴埋めのために自分の戦争体験を元にした小説「墓地で」を執筆。70年、2作目の「プレオー8の夜明け」で芥川賞を受賞し、50歳の新人賞作家として話題になった。
代表作に、終戦時に旧植民地に住んでいた日本人の日常生活を描いた『小さな市街図』(芸術選奨新人賞受賞)、『セミの追憶』(川端康成文学賞受賞)、戦争三部作『断作戦』『龍陵会戦』『フーコン戦記』(菊池寛賞受賞)など。