リチャード・アヴェドン。Richard Avedon。写真家。
10月1日、肖像・ファッション写真を芸術の域まで高めたことで名高い写真家リチャード・アヴェドンさんが、脳内出血にともなう合併症のため死去。81歳。
1923年、アメリカ・ニューヨーク市生まれ。ニューヨークの5番街で女性服店を経営する一家に生まれ、少年のころからファッション誌に親しみ、高校を中退後、商船隊の写真班を経てデパートの撮影部に所属。ハーパース・バザー誌のアートディレクターを務めていたアレクセイ・ブロドビッチのもとで写真を学んだ。45年から65年までハーパース・バザー誌の専属カメラマンを務め、革新的なファッション写真で注目された。また、真っ白なバックの前に人を立たせ、人を浮かびあがらせるような独特の手法で、肖像写真を多く撮影。マリリン・モンロー、トルーマン・カポーティ、アンディ・ウォーホルなどの肖像写真でも知られる。66年から90年までヴォーグ誌、92年からはニューヨーカー誌初の専属カメラマンとして活躍。特に後者は、それまで写真を一切掲載しない雑誌だった。94年には、アメリカン・フォト誌が選ぶ全米写真家100人のトップとなり、99年には宇多田ヒカルのCDジャケットの撮影も手掛けた。フレッド・アステア、オードリー・へプバーン主演の「パリの恋人」(57年)で、アステアが扮したカメラマンはアヴェドンがモデルと言われている。