ヤマネ・ユウゾウ。美術史家、東京大学名誉教授。
5月22日、俵屋宗達、尾形光琳、長谷川等伯など、「琳派(りんぱ)」の日本近世美術研究に大きな業績を残した美術史家、山根有三氏が、敗血症のため、東京都世田谷区の病院で死去。82歳。
1919年、大阪府出身。父は華道真生流初代家元の山根翠堂。東京帝国大学文学部美学美術史学科卒。東大在学中から宗達、等伯などの実証研究を志す。恩賜京都博物館(現・京都国立博物館)鑑査員、神戸大学助教授を経て、東京大学教授に。作品から得た直観を元に、文献に即した伝記的研究によって、当時の琳派の制作工房の実態を解明して、宗達や光琳と弟子の筆使いの微妙な違いまでも分析。日本近世の絵画史研究に新境地を開いた。また、室町大和絵屏風の研究や、華道史研究など、幅広く業績を残した。文化財保護審議会委員、雑誌「国華」編集主幹、東京国立博物館評議員などを歴任。86年、紫綬褒章、98年、朝日賞受賞。2000年、文化功労者。