ナラモト・タツヤ。歴史家、作家。
3月22日、吉田松陰など、幕末維新史の研究、著述で知られる歴史家の奈良本辰也さんが、肺炎のため、京都市の病院で死去。87歳。
1913年、山口県の船問屋に生まれる。38年、京都大学史学科を卒業後、京都市史編纂所に勤務。48年、立命館大学文学部教授に就任。69年、大学紛争で、大学当局と対立して辞任。以後、在野の歴史家として研究、著述を続け、小説も執筆した。専門は日本近世思想史。立命館大学でのちに同僚となる歴史学者の林屋辰三郎さんらと、45年に日本史研究会を創設し、関西の日本史研究をリード。47年に発表した、維新の担い手を郷士、中農層とする論文「幕末における郷士-中農層の積極的意義」は、のちの幕末維新史研究に大きな影響を与えた。また、被差別部落の研究にも早くから取り組み、部落問題研究所の設立に参加し、初代理事長に。著書に「近世封建社会史論」「吉田松陰」「高杉晋作」「部落問題」や、小説「洛陽燃ゆ」「武田信玄」など。