ノヨリ・リョウジ。2001年度ノーベル化学賞受賞者。名古屋大学大学院理学研究科教授。
10月10日、スウェーデン王立科学アカデミーは、01年のノーベル化学賞を、野依良治・名大教授、元アメリカ・モンサント社研究員のウィリアム・ノーレス博士、アメリカ・スクリプス研究所のバリー・シャープレス教授の3氏に贈ると発表。
日本人のノーベル賞受賞は、2000年の白川英樹・筑波大学名誉教授に次いで10人目。化学賞は2年連続の受賞に。授賞式は、12月10日に、ストックホルムで行われる。
3氏の受賞理由は、有機化学に「不斉(ふせい)合成」と呼ばれる新たな手法を開発して、医薬品などを、安全に大量生産することを可能にした業績によるもの。化学合成では、成分が同じ化合物であっても、分子の並び方が左右対称に逆転している異なる物質「光学異性体」が混在して発生する。野依教授は、京都大学工学部助手だった1966年に、銅原子を触媒にして、光学異性体を作り分ける不斉合成の原理を世界で初めて発見し、80年には、ロジウムを使った新たな触媒「ノヨリ触媒」を開発して、ビタミンやアミノ酸などの光学異性体を100%作り分けることに成功した。
1938年、兵庫県芦屋市生まれ。61年、京大工学部工業化学科を卒業後、同学科助手に。68年に名大理学部助教授となり、ハーバード大留学を経て、72年、33歳で名大教授に。
不斉合成反応に関する研究で、アメリカ化学会のアーサー・C・コープ賞、ロジャー・アダムス賞、キング・ファイサル国際賞など、世界の化学賞を軒並み受賞。95年には、日本学士院賞を受賞し、2000年、文化勲章受章。