ミナミ・ヒロシ。社会心理学者、評論家。
12月17日、社会心理学者で一橋大学名誉教授の南博さんが、肺炎のため東京都中央区の病院で死去。87歳。
1914年、東京都出身。東京大学医学部に入学するも、中退して京都大学文学部哲学科に再入学。40年、アメリカのコーネル大学大学院に留学して心理学を専攻。戦後、47年に帰国し、社会心理学を体系的な学問として紹介。53年に発表した『日本人の心理』で、日本人の自我の弱さを指摘。同書は、のちのさまざまな「日本人論」の先駆けとなる。「伝統芸術の会」や、鶴見俊輔らの「思想の科学研究会」にも参加し、マスコミ論や社会風俗、庶民文化など、幅広い評論活動でも知られる。著書に『体系社会心理学』『人間行動学』など。また、私生活では、舞台女優の東恵美子(あずまえみこ)さんとの25年間にわたる別居生活「自由結婚」も話題となった。