1月4日、書評やエッセーで知られる文芸評論家の向井敏さんが、急性虚血性心不全のため、千葉県船橋市の自宅で死去。71歳。
文芸作品を主題や思想よりも、文体そのものの魅力で評価すべきだとする独自の文体論を展開。洗練された明快な批評で、若い作家の魅力を発掘した文芸評論家。
1930年、大阪府出身。大阪大学文学部卒業後、大阪大学大学院仏文学専攻修士課程修了。
大学時代、開高健、谷沢永一らと伝説的なガリ版同人誌「えんぴつ」に参加。61年、電通に入社し、テレビCMの制作を手がける。電通退社後、フリーのエッセイストとしても活躍し、83年に『虹をつくる男たち―コマーシャルの30年』で、サントリー学芸賞受賞。著書に『文章読本』『開高健―青春の闇』『司馬遼太郎の歳月』など。