アユカワ・テツヤ。本名、中川透。推理作家。
9月24日、本格ミステリーの草分け的存在、鮎川哲也さんが、多臓器不全のため死去。83歳。
1919年、東京都生まれ。小学校3年の時に、鉄道の測量技師だった父の仕事の関係で旧満州に渡る。北満州の札蘭屯中学を卒業後、本土の拓殖大学に進学したが、戦争のため学業を断念。終戦後、推理雑誌「ロック」誌上にて、「月魄」(つきしろ、筆名・那珂川透)で、デビュー。50年「ペトロフ事件」が雑誌「宝石」の懸賞小説に入選したが、賞金の不払い事件が起こり不遇の時代を過ごした。56年、講談社の「書下し長篇推理小説全集」第13巻が公募となり「黒いトランク」が入選、ペンネームを鮎川哲也と改め再デビューした。60年「黒い白鳥」「憎悪の化石」で日本探偵作家クラブ賞(現日本推理作家協会賞)。アンソロジー編集にも意欲を示し、埋もれた作家の発掘・紹介を精力的に行い、新人の発掘にも力を注いだ。