オク・カツヒコ。在イギリス大使館参事官。45歳。
イノウエ・マサモリ。在イラク日本大使館書記官。30歳。
11月29日、イラク北部のティクリート付近で、日本大使館用の車が移動中に銃撃を受け、奥克彦在イギリス大使館参事官と井ノ上正盛書記官、イラク人運転手が殺害された。
奥克彦さんは1958年、兵庫県生まれ。兵庫県立伊丹高校で花園(全国高校ラグビー)に出場。早稲田大学政経学部入学後もラグビー部に所属し、実力は十分に備えていたが、外交官試験に備えるために退部。在学中に外交官試験に合格し、81年外務省入り。82年からイギリス・オックスフォード大学に留学、日本人として初めてラグビー部の1軍レギュラーの座を獲得、外務省の仕事のかたわらラグビー界の国際交流にも力を尽くした。2001年から在イギリス日本大使館で大使、公使に続く3番目の要職、参事官を務めていたが、03年4月から米英占領当局(CPA)の前身であるアメリカの復興人道支援室(ORHA)へ派遣され、長期出張中だった。
井ノ上正盛さんは1973年、宮崎県生まれ。95年熊本大学法学部在学中に外務省専門職に合格し、翌96年外務省入り。シリアのダマスカスで3年間アラビア語を猛特訓し、外務省きってのアラビア語のスペシャリストとして知られていた。2002年5月、在ヨルダン兼イラク日本大使館勤務の発令を受け、03年4月イラク入り。その活躍の様子は奥参事官が外務省のHP上に記していた「イラク便り」にも紹介されていた。
外務省は事件当日の11月29日付で、奥克彦参事官を「大使」、井ノ上正盛3等書記官を「1等書記官」に、それぞれ2階級特進させる人事を発表した。