アハメド・ヤシン。Ahmad Yasin。
3月22日、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの精神的指導者、アハメド・ヤシン師が、パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍のミサイル攻撃を受け死亡。
1936年、旧英信託統治領パレスチナ、アルジュラ生まれ。48年のイスラエル建国で難民となり、ガザ地区で育った。12歳のときスポーツ中の事故で四肢が麻痺し、以後車椅子生活を続けてきた。エジプトへの留学後、説教師となり、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」のガザ指導者として頭角を現し、87年、その傘下にハマス(イスラム抵抗運動)を設立。80年代以降2度にわたりイスラエル当局の拘束を受け、89年には禁固40年を言い渡されたが、97年、ヨルダン当局に捕まったモサドの工作員と引き換えに解放された。ヤシン師殺害を受け、欧州連合(EU)外相会議は共同宣言を発表し、「殺人」とイスラエル軍を非難。ヤシン師の後継指導体制について、23日、自治区ガザの最高指導者のひとりで、ハマス内最強硬派とされるアブドルアジズ・ランティシが指導者就任を宣言。これに対し、シリアを拠点とするハレド・メシャル政治局長が異議を唱えるなど、ハマス内部の対立も表面化した。一方、イスラエルのモファズ国防相は「過激派を掃討する」と述べ、双方の強硬姿勢は激化の一途をたどっている。