アベ・カズシゲ。第132回芥川賞受賞者。
カクタ・ミツヨ。第132回直木賞受賞者。
1月13日、第132回芥川賞・直木賞の選考会が開かれ、芥川賞は阿部和重の「グランド・フィナーレ」に、直木賞は角田光代の「対岸の彼女」に決まった。
芥川賞受賞の阿部和重は1968年、山形県生まれ。高校中退後、日本映画学校に進学。20歳頃から小説に取り組むようになり、94年、「アメリカの夜」で群像新人文学賞を受けてデビュー。同作は芥川賞の候補にもなった。97年長編「インディヴィジュアル・プロジェクション」がシブヤ系文学やJ文学と呼ばれるなど注目を集め、「トライアングルズ」で芥川賞の候補となり、2001年の「ニッポニアニッポン」も同賞の候補になっている。4回目での受賞に「複雑な心境」と述べつつも「これをきっかけに多くの人に読まれるのがうれしい」と語った。他の著書に「ABC戦争」「公爵夫人邸の午後のパーティー」「無情の世界」「シンセミア」などがある。
直木賞受賞の角田光代は1967年、横浜市生まれ。文筆業を始めた当初は彩河杏(さいかわあんず)の名でジュブナイル小説を執筆していた。早稲田大学在学中の88年には、コバルト・ノベル大賞を受賞。そして90年、角田光代の名で「幸福な遊戯」により海燕新人文学賞を受賞。96年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、98年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、03年「空中庭園」で婦人公論文芸賞を受賞。これまで芥川賞で3回、直木賞で2回候補になっていた。著書に「みどりの月」「これからはあるくのだ」「エコノミカル・パレス」「愛がなんだ」「トリップ」などがある。