オオタ・ヒロタロウ。建築史家。
2007年1月19日、戦後を代表する日本建築史家の一人で、歴史的な建築物の保存修理・整備に積極的に取り組んだ太田博太郎さんが、老衰のため死去。94歳。
1912年、東京生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、法隆寺国宝保存工事事務所で法隆寺の保存に取り組み、文部省宗教局保存課を経て、43年に母校の助教授、60年に教授。東京大学退官後は武蔵野美術大学教授、九州芸術工科大学学長、武蔵学園長を務めた。日本建築史のあらゆる領域を研究し、日本建築史、日本住宅史の体系化に心血を注いだ。住宅史研究の体系を築いたといわれる「図説日本住宅史」や、「日本建築史序説」などの学術書から、岩波新書の「床の間」といった一般向けの書籍まで、多くの著書がある。戦前から法隆寺をはじめ寺社や平城宮跡など日本各地の文化財の保存のほか、木曽路妻籠宿の町並みの保存にも力を注いだ。