カワイ・ハヤオ。臨床心理学者。
2007年7月19日、臨床心理学の第一人者で、元文化庁長官の河合隼雄さんが、脳梗塞のため死去。79歳。
1928年、兵庫県生まれ。霊長類学者の河合雅雄は兄。52年、京都大学理学部数学科を卒業後、高校教師の傍ら、問題児対策をテーマに京都大学大学院で臨床心理学を学んだ。59年、フルブライト留学生として、カリフォルニア大学に留学。その後、スイスのユング研究所で日本人として初めて、ユング派精神分析家の正式資格を取得。砂箱に模型を入れて自己表現する「箱庭療法」を日本へ紹介したことでも知られる。京都大学教授、95年から2001年まで、国際日本文化研究センター所長を歴任。専門の臨床心理学をベースに、幅広い分野で研究執筆活動を行い、「コンプレックス」「母性社会日本の病理」「中空構造日本の深層」「昔話と日本人の心」「明恵 夢を生きる」など、著書多数。2002年1月、3人目の民間出身の文化庁長官に就任。06年4月、文化庁が奈良県明日香村の高松塚古墳壁画の損傷を隠していた事実が発覚すると、同村を訪れて村長らに謝罪し、壁画修理のための石室解体に協力を要請したが、脳梗塞で倒れ、10月より休職。07年1月任期満了で退任し、療養を続けていた。