エリア・カザン。Elia Kazan。アメリカの映画監督、演出家。
9月28日、「欲望という名の電車」「エデンの東」などの名作で知られる映画監督のエリア・カザンさんが死去。94歳。
1909年、トルコ生まれ。ユダヤ系ギリシャ人の両親のもとに生まれ、4歳でアメリカに移住。演出家としてブロードウェーで活躍し、映画界入り。45年「ブルックリン横丁」で初監督。ユダヤ人差別をテーマにした47年の「紳士協定」ではアカデミー作品賞、監督賞を獲得。港湾労働者の生活を描いた「波止場」(54年)でも作品賞と監督賞を獲得した。「エデンの東」(55年)では自らが創設(47年)したアクターズ・スタジオ出身のジェームズ・ディーンを起用するなど、マーロン・ブランド、ウォーレン・ビーティを見出したことでも知られる。しかし52年東西冷戦の激化で吹き荒れた「赤狩り」で、元共産党員として議会で証言し、党員の疑いのある11人の友人の名前を非米活動委員会に公表、自身は追放を免れるという汚点を残した。このことで、99年のアカデミー賞で特別名誉賞を受賞した際には賛否両論を巻き起こした。著書に「アメリカ アメリカ」(62)「エリア・カザン自伝」(88)などがある。