イイ・フミコ。歌人、随筆家。
11月22日、琉球国最後の国王尚泰のひ孫で、歌人の井伊文子さんが、心不全のため死去。87歳。
1917年、東京生まれ。旧琉球王家尚昌の長女。34年、女子学習院本科卒業。37年、幕末の大老井伊直弼のひ孫で、彦根市長を9期務めた故・直愛氏と結婚した。佐佐木信綱に師事し、36年には処女作「中城さうし」を出版、52年から新短歌に転じ、ひめゆりの塔の前にも歌碑がある。沖縄を支援するため、72年「佛桑花の会」を設立し、沖縄の中高校生を本土一周に招く「勉強の旅」や文化講演会を催し、奨学金支給制度などで人材育成や福祉向上に貢献した。歌集「浄命」「鷺ゆく空」などのほか、著書に「美しく老いる」「井伊家の猫たち」「わがふるさと沖縄-琉球王尚家の長女として生まれ」などがあり、6月刊の「ひとすじの道」が遺著となった。