カトウ・タクオ。陶芸家。
1月11日、古代の陶芸技法復活に尽くした、人間国宝の加藤卓男さんが肺炎のため死去。87歳。
1917年、岐阜県生まれ。江戸時代から続く美濃焼窯元、幸兵衛窯の6代目。35年、多治見工業学校(現・多治見工業高校)を卒業後、京都の国立陶磁器試験所陶芸科で研修を受けた。戦争中、転属先の広島で被爆。白血病で10年の闘病生活を送る。61年フィンランド政府の招聘を受け、フィンランド工業美術学校に留学。留学中に古代ペルシア陶器に興味を抱き、研究を開始する。イラン王立パーレビ大学への留学や、イラン国立考古博物館・東大イラン・イラク遺跡発掘調査団の発掘調査にも参加。これらの成果として、17世紀から途絶えていた、七色に輝く幻の名陶ラスター彩の再現に約25年の歳月をかけて成功。それだけでなく青釉(ペルシャン・ブルー)などの復元にも成功した。80年からは宮内庁正倉院の委嘱で正倉院三彩の復元を試み、88年、奈良三彩の復元に成功。この功績が認められ、95年に国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。