イワムラ・ノボル。医師。
11月27日、ネパールの無医村に移住し、18年にわたり結核医療などに取り組んだ「ネパールの赤ひげ」こと岩村昇さんが急性呼吸不全で死去。78歳。
1927年、愛媛県生まれ。学徒動員中の広島で被爆し医師を志す。54年、鳥取大学医学部を卒業。同大学助教授を65年まで務めた。日本キリスト教会海外医療協力会から派遣され、62年に妻とともにネパールの無医村に渡り、移住。その後18年間、結核やマラリアなどの伝染病医療に取り組み、「ネパールの赤ひげ」と呼ばれるようになった。帰国後は神戸大学医学部の教授に就任。81年、アジアや南太平洋地域の青年に農業技術などを教育する草の根交流団体「PHD協会」を設立。85年にはNGO国際人材開発機構を立ち上げた。これまでに12人の孤児を養子として育てあげ、晩年は妻とネパールから引き取った孤児の3人で暮らしていた。73年に吉川英治文化賞、93年にアジアのノーベル平和賞といわれるマグサイサイ賞を受賞。著書に「山の上にある病院」(新教出版社)などがある。