イバラギ・ノリコ。本名、三浦のり子(みうら・のりこ)。詩人。
2月19日、戦後の日本や女性の生を鋭い視点で歌った詩人、茨木のり子さんが死去していたことがわかった。79歳。
1926年、大阪府生まれ。帝国女子薬学専門学校(現・東邦大学薬学部)を卒業。はたちで敗戦を迎え、23歳で結婚。詩作は50年頃から始めた。53年、詩誌「詩学」への投稿仲間だった詩人の川崎洋と共に詩誌「櫂(かい)」を創刊。後に同誌には、谷川俊太郎、大岡信、吉野弘らも参加した。 55年、第1詩集の「対話」、58年に第2詩集「見えない配達夫」を発表。「わたしが一番きれいだったとき」のフレーズで始まる詩は、戦中を生きた女性の声として注目され、教科書に掲載された。50歳のとき、韓国の詩を理解するためハングルの勉強を開始。90年には12人の韓国詩人の作品を収めた「韓国現代詩選」を翻訳出版し、読売文学賞を受賞するなど評価を得た。99年、詩集「倚(よ)りかからず」を発表、ベストセラーになった。他の詩集に「鎮魂歌」「人名詩集」、エッセー集に「言の葉さやげ」「詩のこころを読む」などがある。